商社や物流部門に配属されて3ヶ月目。「20フィートドライ」「ハイキューブ」「リーファー」……フォワーダー(運送業者)との会議で飛び交う専門用語に、咄嗟にイメージが湧かず冷や汗をかいた経験はありませんか?
「コンテナの種類が多すぎて、どれを選べばいいかわからない」と悩む必要はありません。結論から申し上げれば、実務で扱うコンテナは、海上輸送なら3種類、国内鉄道輸送なら1種類を軸に考えるのが基本です。
この記事では、海上輸送(ISO規格)と鉄道輸送(JR規格)を横並びで比較し、荷物の性質から最適なコンテナを即断できる「逆引きマトリクス」を公開します。この記事を会議直前のお守りとして活用すれば、今日からプロの物流担当者として自信を持って打ち合わせに臨めるようになります。
[著者情報]
✍️ 執筆者:瀬戸口 芳郎(せとぐち よしろう)
物流コンサルタント / 元大手総合物流企業 海外現法社長
30年にわたり数千件の輸出入案件に従事。世界各国の現場でコンテナ荷役の修羅場をくぐり抜けてきた。新人教育プログラムの作成経験も豊富で、現場の「今さら聞けない」を論理的に解説するメンターとして活動中。
「20?40?JR?」物流コンテナを分ける2つの巨大勢力
配属当初、フォワーダーに「20か40か」と聞かれて答えに詰まった経験、私にもあります。田中健一さんのような若手社員がまず理解すべきは、物流コンテナには「海上輸送(ISO規格)」と「国内鉄道輸送(JR規格)」という、互換性のない2つの巨大な勢力があるという事実です。
「海上輸送用のISOコンテナ」は世界共通の規格であり、国をまたぐ輸出入の主役です。一方で、「国内鉄道輸送用のJRコンテナ」は、日本の道路事情やトラックの積載能力に最適化された独自規格です。海上輸送用コンテナと国内鉄道用コンテナは、サイズも強度も異なるため、基本的には互換性がない別物であると認識してください。
まずは、田中さんが担当する案件が「海外との輸出入(海上)」なのか「国内の拠点移動(鉄道)」なのかを切り分けることが、プロの第一歩です。
【サイズ一覧】海上コンテナと鉄道コンテナの決定的な違い
実務で混乱を招くのが、具体的な数値データです。20フィートや40フィートという名称は「外寸」の長さを指していますが、実際に荷物を詰め込む際に重要なのは「内寸」と「最大積載量」です。
主要なコンテナのスペックを以下の表に整理しました。
海上ISOコンテナ vs 国内鉄道JRコンテナ スペック比較
| コンテナ名称 | 外寸(長さ) | 内寸(長さ×幅×高さ) | 最大積載量 |
|---|---|---|---|
| 海上20ftドライ | 約6.1m | 約5.90m × 2.35m × 2.39m | 約21.6t |
| 海上40ftドライ | 約12.2m | 約12.03m × 2.35m × 2.39m | 約26.5t |
| 海上40ftハイキューブ | 約12.2m | 約12.03m × 2.35m × 2.69m | 約26.5t |
| JR 12ftコンテナ | 約3.7m | 約3.64m × 2.27m × 2.25m | 5.0t |
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 荷物の積載プランを立てる際は、必ず「内寸」を基準にしてください。
なぜなら、コンテナの壁には数センチの厚みがあり、外寸ギリギリの計算では荷物が入らないというトラブルが多発するからです。私も新人の頃、外寸だけでパレット数を計算し、現場でVAN詰め(バンニング)ができなくなるという苦い経験をしました。海上コンテナの幅は約2.3m、高さも約2.3mという「2.3の法則」を頭に入れておくと、咄嗟の判断に役立ちます。
【逆引き】荷物の「顔」で選ぶ!コンテナ種類別の使い分け基準
荷物の性質——つまり「重いか、高いか、温度に敏感か」によって、最適なコンテナは論理的に決まります。一般的な「ドライコンテナ」で運べない荷物をどう処理するかが、物流担当者の腕の見せどころです。
荷物の性質とコンテナ種類の関係性は、荷物の物理的特徴が原因となり、最適なコンテナという結果を導き出す選定ロジックで成り立っています。

失敗しないための「あと30cm」——ハイキューブ(HC)の重要性
現代の海上輸送において、最もコストパフォーマンスに直結するのが「ハイキューブ(HC)」の活用です。40フィートハイキューブコンテナは、標準の40フィートコンテナと比較して、高さが約30cm高く設計されています。
このハイキューブコンテナの高さは、軽量だが嵩張る貨物において、積載効率を劇的に向上させ、結果として輸送コストを削減させる正の相関関係にあります。
例えば、衣類やプラスチック製品のように、重さよりも容積が問題になる荷物の場合、標準の40フィートコンテナからハイキューブに変更するだけで、積載量が約10%増加します。フォワーダーとの交渉で「HC(ハイキューブ)の空きはありますか?」と一言添えるだけで、あなたは「デキる担当者」として認識されるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q: 20フィートコンテナと40フィートコンテナ、どちらが安いですか?
A: 単純な運賃(オーシャンフレイト)は20フィートの方が安いですが、容積あたりのコストは40フィートの方が割安になる傾向があります。荷物が大量にある場合は、40フィートハイキューブを優先的に検討するのが定石です。
Q: 海上コンテナをそのままJRの貨物列車に乗せられますか?
A: 20フィートのISO海上コンテナであれば、専用の貨車を使用して鉄道輸送が可能です。ただし、40フィートコンテナは日本の鉄道規格外の場所が多く、道路輸送(トレーラー)が主役となります。海上コンテナと鉄道コンテナの連携には、インフラ側の制約が伴う点に注意してください。
まとめ
物流コンテナの世界は、サイズと種類の「パズル」です。海上輸送なら20ft、40ft、40ftHCの3軸。国内輸送ならJR12ft。この基本さえ押さえれば、実務のコミュニケーションミスは激減します。
この記事の内容を、今日の打ち合わせのカンニングペーパーとして活用してください。数値や規格に迷った時、この「クイックガイド」をスマホで開く勇気を持つことが、田中さんのプロとしての第一歩です。さあ、自信を持って会議に臨みましょう。
[参考文献リスト]
- コンテナの種類とサイズ – 三井倉庫ホールディングス
- コンテナのサイズ・種類 – JR貨物公式
- 外航海運の基礎知識 – 日本船主協会
- 物流施策の動向 – 国土交通省

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